高機能で魔法のようなヒーターコントローラーを開発しました。 この方式では、双方向通信を必要とせず、システム間のデータ交換も不要です。 しかし、最も電力を必要とするヒーターには優先順位が高く設定され、サーバを介さずに多くの電力が供給されます。 そのため、通信負荷が大幅に軽減されます。 ヒーターはいつでも増設や、取り外しが可能です。 これにより、温度管理の負荷が大幅に削減され、衛星開発のスケジュールを短縮することができます。 RFで操作するため、ハーネス設計が不要になります。 温度制御システムを迅速に構築し、膨大なリソースを節約することができます。 システム全体を構成する製品は1種類のみ、45mm×45mmの回路基板です。 この基板は、すぐにご提供可能です。
現代の制御システムは、基本的にサーバ・クライアント方式であり、制御目的を達成するためには双方向通信が当然であるかのように、暗黙のうちに想定されています。
これは電力制御においても同様です。
しかし、制御すべきものは、たったひとつのスカラー特性、つまり「電力」のみです。
このたったひとつのプロパティを制御するためだけに、あらゆる情報を集め、中央サーバで判断する必要があるでしょうか。
答えは明らかです。
このまま双方向通信を続けていては、大きな浪費となります。
コスト、スケジュール、マンパワーなどのリソースが積み重なった末、爆発的に増大し、開発が困難になります。
人工衛星の開発でも、このような問題に直面します。
宇宙機開発では、温度管理に関しては、搭載する全ての機器やサブシステムの設計が終了した後、ようやく検討し始めます。
通常、ハーネス設計は最後になります。
ハーネスの質量は決して軽くはありません。
従来のヒーター制御サブシステムは、いたるところに温度計測器があり、膨大な数のスイッチで構成されています。
どのスイッチをオンにするかは、中央サーバであるヒーター制御システムで算出し、決定します。
サーバとクライアントであるヒーターとの間で、何本ものケーブルが必要で、双方向通信が行われているため、ハーネスの質量が大きくなってしまうのです。
左は、典型的なサーバ・クライアントシステムのブロック図です。
今回開発した方式では、双方向通信をやめました。
各ヒーターのON/OFFは、各ヒーター自身で判断します。
各ヒーターには、総電力量の過不足情報のみが提供されます。
この情報は、頭脳を持たない計測器から送信されてきます。
その情報に基づいて、各ヒーターは独立・自律的に判断を行います。
まるで調和がとれていない制御のように聞こえるかもしれません。
しかし、この分散型システムは、優先順位をつけるという特殊な戦略でうまく機能しているわけです。
最も電力を必要とするヒーターが、システム内で最初にオンになるのです。
左の簡略ブロック図をご覧ください。
左に例としてテスト結果を挙げております。
温度は目標値となるよう、よく制御されていることがわかり、また、総消費電力のピークが平坦化され、抑制されていることもわかります。
ヒーターの電力変動が平坦化されるため、他のサブシステムに使用する電力を増加させることも可能となり、搭載する電力系統の効率化を図ることができます。
開発したPCBの上面と下面の写真を2枚掲載しています。
このPCBでは、レジスタを配列しヒーターを構成しています。
このPCBを貼り付けるのみです。
電力の過不足情報はRFデバイスで送信されるため、宇宙機内にハーネスを走らせることはありません。
ヒーターの増設・撤去は、システム性能に影響を与えることなく任意に行うことができます。
もう一枚の写真で、PCBがいかに小さいかがおわかりいただけると思います。
なお、すでにバージョンアップしたPCBの開発も完了しており、現在、受注・納品が可能です。
全PCBのうち、1枚のPCBが宇宙機データプロセッサとのインターフェースの役割を果たすことができます。
電力制御のために温度情報を報告する必要はありません。
しかし、このPCBシステムでは、制御のためではなく状態観察のために温度情報を低速で収集し、ポーリング方式で宇宙機が地上のcustomerに温度状態を送信することは可能としています。
デモ用となりますが、左の最後の画像は、この分散型IoTヒーターシステムの展示用デモのレイアウトを表したものです。
宇宙機のバス・データ処理装置を模擬するためにPCを接続しています。
送信モジュールは、ハードウェア面からいうと、配置された他のヒーターと同じで、シリアルインターフェースでバス・データ処理システムに接続されています。
このレイアウトでは、総消費電力を測定する回路を追加しています。
デモ用レイアウトではありますが、いかにシンプルにシステムが構築されているかがおわかりいただけます。
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